初めての大会~後編~

前編

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中編

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辛い辛い後半

日差しが暖かいと感じたのもつかの間、あっという間に「暑い」「まぶしい」に変わってしまう太陽の憎らしさ。6km頃の給水は迷わず手にするも、気付けは人生で初めての給水、うまく取れず手元が濡れる。手袋が気持ち悪い。

少しでも日差しを避けたいと影のある右側に寄ってみるも、顔にサンサンと照り付ける太陽は避けられず。強風のあまり、帽子を断念したのだが、やっぱり被ればよかったなぁなどと後悔する。

6.5km頃から、スタート後と同じコースに戻り、また薄暗く人の少ないエリアで気持ちも下がり気味。いよいよ「もうやめたい」気持ちがふつふつと湧き上がってきた。

そんなころ、湖畔の反対側を知人が激走してくるのが見える。向こうはもう9km過ぎか。「おーい!」と思わず手を振ると、気付いて軽く手を挙げてくれたので、ちょっぴり元気が出る。

残りは前半に走ったコースとなれば、終わりまでの道のりのイメージもつく。7kmを通過ということは、皇居ではあの辺りかな、などと練習の時のイメージもしながら「あと少し」と自分に言い聞かせる。

8kmを少し過ぎたあたりから、また向かい風のゾーンに突入し、苦しい苦しい9km区間では「歩きたい」「でも歩かずにゴールしたい」「でも苦しい、歩きたい」「でもあと少し」「無理、しんどい」と、ひたすら自己との葛藤だった。

55分は切れる!

心の支えは手元の時計。9km通過時点で48分くらいだったので、歩かなければ55分は切れると言い聞かせて走り続ける。

皇居でも最後の1kmはしんどい、同じだ同じ、大丈夫、そう言い聞かせながらも、最後の1kmは何度も何度も手元を見るが、一向に進まない距離。

あの角を曲がれば、直線からのもう1回曲がってゴールだな、と思って曲がった角で、直線が「思っていたより長い」時の絶望たるや。いや、前半と同じで道が変わったわけではなく、心理的に長く感じただけなのだけど。

最後の曲がり角を超え、いよいよゴールが見える。先にゴールした知人が沿道で近くまで応援に来てくれていた。給水で失敗して濡らした手袋がとにかく気持ち悪くて、外して持っていたのが邪魔だったので、知人にヨロシクと投げ渡す。

ラソン選手がラストスパートかける時みたいだな!どう見てもヘロヘロで程遠いけどな!と自分に突っ込みつつ、直線を駆け抜ける。あと少し、あと少し、公式の計測が52分45秒、46秒、と動くのが目に入る。「53分切れるかな」そう思って踏ん張った。

完走は気持ちいい

ゴール後に配られたアクエリアスを受け取りつつ、ゼーハーと芝生でぐったり。手袋を持って笑いながら迎えに来てくれた知人に「53分切ったんじゃない」と言われても、言葉が出ない。

とにかく、苦しい。もう二度と走らない。そう思った。が、少しすると、そんな気持ちはどこへやら。楽しかったなぁと思えてしまうのがランの不思議なところだ。

アクエリアスは甘すぎて数口飲んで無理で、ゴール後はとにかく水が美味しかった。少し休憩をしてから、計測タグを返しがてら記録証を受け取りに。

52分52秒。

初めての10kmの大会は完走の目標も、1時間を切る目標もしっかりとクリアすることが出来たし、心配だった財布も無事で楽しい思い出となったのだった。