さぁ30km走ろう!~後編~
初の30km走、後半は頭の中がトイレ問題から痛みでいっぱいに。
痛い、と言っても走れないほどではない。走れない感覚はどちらかというと、痛みよりも重い(体が動かない)という方だ。
進まない距離
呼吸は苦しくない。心拍数も問題ない。何なら普段の練習やこれまでの大会の方がよっぽど苦しかったし、ゼーハーした。
なのに、身体が動かない。足が、進まない。
体感はスタート後と変わらないくらい(キロ6分切るくらい)で走っている【つもり】なのに、周りの景色が進まないのだ。見える景色から受ける感覚は「歩いているのかな、私」という感じ。
下りエスカレーターを必死に上っているような気持ちだ。
1kmがこんなに遠いなんて。
エネルギー切れ?いや、スポーツドリンクも飲んだ、さっきバナナやクッキーも食べた。むしろお腹はいっぱいだ。
やめるか?進むか?
とりあえず、折り返しまで。その気持ちでどうにか22.5kmまで行く。
そして、とりあえず、スタート地点まで。その気持ちで、なんとか25km。
その間ずっと「リタイアするかどうか」の自問自答が頭の中を駆け巡る。
キロ6分半から7分ペースなので、歩くよりは速いものの、体感としては歩いているような感覚が抜けず、5kmが果てしなく長い。
足はどんどん痛くなる。このまま、もう1周できるのか?もうここで、やめておこうか?
結論の出ないまま「ラスト1周!頑張って!」のスタッフさんの声に見送られて、最終周に。直後のエイドで足を伸ばしながら、水分とバナナを食べ、どうしようか悩む。
あと1周。歩いてでもいいから、頑張ってみようか。本当に痛みがどうにもならなくなったら、そこで終わりにしよう。
意を決して、再び走り出した。
復活の折り返し
最終周の行きの2.5kmはよく覚えていない。とにかく、少しでも進もう、あと少し、あと少し、と言い聞かせながら、走ってはとまり、足を伸ばし、歩き、また走って、を繰り返したように思う。キロ7分ペースは変わらず。
折り返しが見えて、給水をもらい「頑張ったね!あと少し!」の声に、そうか、あと少しか、と思ったあたりから、気持ちが盛り返す。
ファイト、ファイト、と心の中で自分を鼓舞しながら、少しずつ進むと、ペースが戻ってきた。あんなに進まない、動かない、と思っていた身体が少しだけ復活して、キロ6分5秒前後のペースまで回復。
前の方で、同じように辛そうに走っているランナーが見えては、1人追いつき、また1人追いつき、少しずつ、体感も走れているかも、という感覚になる。
足の痛みは相変わらずだったが、こんなに必死なのに進まない!と思っていた時間帯と比べると、走れている!という気持ちだけでも随分と違う。
あと少し。あと少し。最後はまた少しだけ「走った」気持ちでゴールすることが出来た。
3時間6分10秒。初めての30kmはボロボロながらも、どうにかリタイアせずに終えることが出来た。